狂言ってなんだろう?
世界無形文化遺産『狂言』
狂言はおよそ650年もの昔。室町時代に誕生しました。
これほど長きに渡って、ほとんど形を変えずに守り、伝えられて来た芸能は、
世界でもまれなものとして、『能』と共に、ユネスコの制定する世界無形文化遺産として、
2001年、記念すべき第一回目に認定されております。
世界の中でも確固たる地位を占めているような、日本の伝統芸能『狂言』。
一方では、伝統芸能というと、「難しいのではないか」「退屈ではないか」
・・・と思われる方も多いのではないかと思います。
狂言って難しい?
事実、生活習慣も言葉も何もかも異なったような、
はるか昔の生活の中から生まれた芸能です。
とても現代社会に生きるわたくしたちに通用するものと思われないかもしれません。
しかし、狂言は長い長い年月を、時代の波に揉まれながらも、
たくましく生き抜いてきました。
それというのも、時代が変わっても、変わらない人間の姿を、
狂言は「笑い」を通して描き続けてきたからに他なりません。
笑いの芸能『狂言』
狂言の演目254番、そのすべてが喜劇です。
ひとくちに「笑い」がテーマだといっても、
その笑いは実に多くのバラエティに満ち満ちています。
ひたすら滑稽さを描いた笑い。荒唐無稽な笑い。和やかな笑い。
シニカルな笑い。風刺の笑い。
悲しみや苦しみを乗り越えた先に見える救いのような笑い。
そこには思いつく限り、
ありとあらゆる種類の笑いを集めたような感さえ見受けられます。
狂言の登場人物は皆、滑稽に振る舞いますが、
みな総じて逞しく生きています。
そこから生じる笑いには、昔から現代に至るまで培われて来た、
「今を生き抜く知恵」が含まれているのではないでしょうか。